こんなにも美しい景色があったのか
至仏山から広大な尾瀬の景色を眺めて、大自然からの贈り物だと感じた。
2022年夏、私は初めて尾瀬を訪れました。
尾瀬は童謡「夏の思い出」で歌われている広大な湿原。場所は群馬県と新潟県、福島県の境にあり、どこから行ってもかなり山深い場所にあります。
テレビや写真では見る機会があっても、なかなかイメージが難しいと感じていた通りで、実際、尾瀬に行くと、周辺の山々も含めその場所の成り立ちがよくわかります。まさに百聞は一見に如かずです。トレッキングで訪れる人が多い尾瀬ですが、尾瀬の一番の見どころは、山から見る尾瀬ヶ原の全景だと思いました。
尾瀬を取り囲む山々 至仏山 燧ケ岳
至仏山や燧ケ岳の山から見る尾瀬ヶ原は、周囲を取り囲む山々に大事に守られているように見えます。
尾瀬ヶ原は山に囲まれた盆地であり、周囲に降った雨が流れ込み一帯が湿地帯となっています。この地形があってこそ、こんな広い湿地帯ができています。
尾瀬の湿原の中に立つと、周囲を山に囲まれているのがよく解ります。尾瀬の湿原の標高は約1400m。周囲の山々は2000mクラスになります。その中で目に留まるのが西側に穏やかそうな丸みを帯びた女性的な山容でもある至仏山。そして、もう一座は尾瀬ヶ原の東側に聳え立っている燧ケ岳です。共に日本百名山でもある至仏山と燧ケ岳の山容は対照的でもあります。丸みを帯びた稜線で女性的な山容である至仏山と、直線的で傾斜も強く、男性的な山容に見えるのが燧ケ岳。尾瀬ヶ原の湿原と、取り囲む山々を両脇から支えるように、守るように、至仏山と燧ケ岳は共に個性ある山容で、凛としてその場に存在しています。本当に素晴らしいです。
至仏山(標高2228.1m)
尾瀬の西側に聳え立つ山で、柔らかい穏やかな山容の至仏山。名前を聞くと仏教に関連があるのかと思いますが、そうではないようで山中に仏像やお社はなかったです。深田久弥氏は当て字であろう…と書かれています。
その穏やかな山容の至仏山なのですが、いざ登ると山頂付近は赤みを帯びた岩場であり、全然穏やかではないです(;^_^A。日本百名山には「柔らかな曲線を描いでなんとも親しみやすい。もっとも反対側の利根(群馬県利根郡にあった旧利根村)から仰ぐと頂上の稜線近くはゴツゴツした岩で鎧(よろ)われている。」と書かれています。ゴツゴツした岩は赤みを帯びた蛇紋岩であり、風化を受けやすく、もろくて崩れやすい性質のためすべりやすく注意が必要です。
至仏山は登山者が多いこともありますが、山頂は広くないので込み合っていました。少し降りたところにテーブルとベンチがあり、見晴らしもとても良いので、こちらで休憩するのも良いです。
至仏山には鳩待峠からのピストンで登りました。比較的穏やかな樹木帯を頑張って登り、小至仏山につながる稜線に繋がる稜線に出たとき、尾瀬ヶ原と周りを囲む山々の全景が目に飛び込んできました。なんとも美しい光景だなぁと。そして、尾瀬の地形を眺めて思いました。だから尾瀬が出来た。広大な湿原が出来た。自然が作った芸術作品だなぁと。尾瀬には登山者含め、トレッキングが主体の観光客の方々も多く来られています。尾瀬ヶ原から観る広大な湿原と周りを取り囲む山々を眺めるのも素晴らしい景色なのですが、可能ならば是非、山に登り、山から尾瀬全体を眺める景色を観ることをお勧めします。
至仏山に登るには尾瀬ヶ原にある山の鼻より登るコース(残雪期以外は登り一方通行)か、鳩待峠からピストンで登るかになります。せっかく尾瀬に来たからと、周回コースで登りたくなりますが鳩待峠と山の鼻の間は標高差で約170m山の鼻のほうが低く、鳩待峠と山の鼻は、下りで約1時間、登りでは約1時間30分かかるので計画時に注意が必要です。
※至仏山の標高はオーストラリア大陸最高峰のコジオスコとほぼ等しいをWikipediaにありました。ちなみにエアーズロック(ウルル)の標高は868mです。
燧ケ岳(標高2356m)
尾瀬ヶ原の東側に聳え立っている、直線的で傾斜も急な山が燧ケ岳です。至仏山を女性的というならば、燧ケ岳の山容はまさに男性的です。そして、至仏山が隆起で出来た山に対し、燧ケ岳は活火山の独立峰で、8000年前頃に山体崩壊を起こして出来たのが尾瀬沼とあります。
山頂の火口付近に芝安嵓(しばやすくら2356m)、俎嵓(まないたくら2346m)、ミノブチ岳があり、一般的に燧ケ岳山頂は芝安嵓で山頂の碑が置かれており、爼倉には二等三角点があるそうです。
燧ケ岳山頂からの眺めも素晴らしく、今度は至仏山と裾から広がる尾瀬ヶ原を一望できます。尾瀬ヶ原の中の林である拠水林もとてもよく見えます。
また、北側には越後山脈、南側には日光白根山、男体山、たぶん皇海山?もよく見えます。
燧ケ岳は東北以北最高峰で、山頂は福島県南会津郡桧枝岐村になります。エリアを(茨城・栃木・群馬を含める)北関東以北に広げると、最高峰は群馬県と栃木県の境にある日光白根山(標高2578m)になります。
燧ケ岳に登るにはいろいろなコースがあります。尾瀬ヶ原の見晴と尾瀬沼を通る周回コースもありますが、当日は時間がなかったので見晴からのピストンで登りました。
尾瀬ヶ原
尾瀬ヶ原は至仏山、燧ケ岳を含む標高2000m級の山々に囲まれた盆地であり、湿原になっています。尾瀬の湿原で標高が1400m程もあり、高山植物を含む湿原特有の植物がみられます。(私は植物の知識がほとんどない(;^_^Aので、よくわからないです<(_ _)>。)
尾瀬ヶ原は南北約6㎞、東西約3㎞もある広大な湿原です。6㎞はどのくらいの距離かというと、東京駅と新宿駅間を歩くと約6.5㎞です。かなり広いです。燧ケ岳や至仏山も含む国立公園特別保護地域としては8690haもあり、山手線の内側の面積(約6300ha)の約1.4倍にもなります。湿原だけになると約760haであり、山手線内側の約1/8になり、東京ドーム(4.6755ha)162個分になります。
広大な尾瀬ヶ原の黄緑色の湿原の中には、湿原を仕切るように濃い緑色の線が見えます。濃い緑は木です。尾瀬ヶ原のほとんどは平らな湿原であり、木が生えないのは何故かなと考えると、木は生えられないと思い、何故生えられないのかと思って湿原をよく見ると、背丈がとても低い草原の草花と同じか少し高い程度の木は生えているのです。つまり、大きくなれない。なぜ大きくなれないか?湿原だから。土が水を含んで柔らかいからと解ります。そうすると、湿原の中の林は、木が大きくなれる。何故か?土に強度があるからと予想できます。
湿原の中の林は拠水林であり、拠水林とは湿原の外部から湿原を貫通してくる川の両側に成立している林のことであるとあります(Wikipediaより)。川は流れる際に侵食して土砂を作り流してきます。川に流された土砂は湿原に流れ込んだ後流れの両側に堆積して自然堤防を作る。そこには木が生えることができる強度があったということです。
そして、小規模な川は湿原に流入食後の短い距離にしか拠水林を作れないとあります。尾瀬ヶ原の広大な湿原に描かれた長い緑のラインはどんな流れの川によるものなのかと。穏やかな湿原とその中に流れる川と、川の力で木が生えることが出来、長い林となっている。大自然の芸術作品ですヽ(^。^)ノ。
湿原内に湧き出た泉を水源とする川には拠水林は成立しないとあり、土砂を流さないからと解ります。しかし、湧き出ている水はとてもきれいで、水面が鏡のようです。竜宮近辺には拠水林がないことにも納得します。
尾瀬での宿泊とテント泊
尾瀬には20程の山小屋があります。多くはお風呂もあり山小屋といえども快適に過ごせるとあります。トイレが水洗なのは非常に助かりますが、周囲が湿原の盆地の中にいるので、シャンプーや洗剤、歯磨き粉は使えないです。
私は、山ではテント泊をするのでテント場を探すと、至仏山麓の山の鼻、燧ケ岳から尾瀬ヶ原の麓の見晴、尾瀬沼東岸の三か所ありました。一泊二日の予定で群馬県側の鳩待峠から入山し、至仏山に登山して、翌日には燧ケ岳に登山しようという無謀な計画を立てたので、テント場は見晴にしました。
見晴テント場は傾斜もほとんどなく、水場もトイレ(チップ制)も近くにあり快適でした。受け付けは燧小屋で大人1人1000円。もちろん冷たいビール🍺も購入ヽ(^。^)ノ。
訪れたのは7月初旬であり、標高1400mもある高所なので寒いかなとも思いましたがそんなこともなくシェラフはスリーシーズン用(モンベル#3)で十分でした。日が落ちるとテントの外は寒いぐらいで、ダウンは無くても大丈夫でしたが、何か着るものが必要でした。そして、さすがに湿原だわと思ったのは、湿度がすごく高かった👀です。ジメジメします。
食事
テント泊なので、食事は全て持参して調理します。これもまた楽しみの一つでもあります。
1日目
昼食:持参していたおにぎり(至仏山山頂付近のベンチで)
夕食:ご飯を炊いて、サバのレトルトパックと持参したぬか漬けときゅうり(親子丼は食べられずに持ち帰る(;^_^A)
2日目
朝食:ご飯を炊いて、卵と魚肉ソーセージ
昼食:魚肉ソーセージと乾燥野菜、めんつゆで炊き込みご飯を作ったら、ピラフのようでおいしかった。おこげもしっかり(*^-^*)。
山歩きのデーターはこちら👇
駐車場と交通機関
駐車場:尾瀬第一駐車場(群馬県利根郡片品村戸倉) 1000円/日
乗合タクシー:片道1000円
鳩待峠より尾瀬に入るならば鳩待峠駐車場もないわけではありませんが、通行規制があります。そして、鳩待峠駐車場は2500円/日もするので、戸倉にある尾瀬駐車場に止めて乗合タクシーに乗るほうが安いです。タクシーも頻繁に走るので苦になるほどの待ち時間はなかったです。
東京から片品村に行くには、関越自動車道で行っても、東北道と日光宇都宮道路で行ってもかなり遠いです。出発する場所にもよりますが料金的は関越道路経由のほうが安い場合が多いようです。今回は、一日目は早朝出発して、深夜は一般道もよく走るので国道17号で北上し、国道120号を経由していきました。帰りも120号に出て、17号経由し渋川伊香保から関越自動車道で帰りました。
使ったお金💰
- ガソリン代 約2500円
- 高速代 2070円(軽自動車・休日割引)
- 駐車場 2000円(1000円/日×2日)
- 乗合タクシー 2000円(1000円/片道×往復)
- テント泊 1000円(大人1人一泊)
- ビール 800円×2
- ジュース 360円(200円、160円)
- パン 152円(👈お腹がすいたので購入)
- 合計 11682円 でした。